画像に網点、色のずれ、インクのむら、紙の質感を加えて、新聞やレトロな印刷物のような見た目にするツールです。元の画像と見比べながら調整できます。見た目を作るためのもので、実際の印刷結果を予測するものではありません。
基本
このツールでできること
画像を細かな点(網点)に置き換えて、印刷物のような見た目を作ります。刷り方は、CMYKの4色、モノクロの1色、好きなインクの色を使う2〜3色から選べます。
新聞風やレトロ印刷風などのプリセットから始めて、色ごとの網点の角度やずれを調整できます。加工した画像はPNG、設定はJSONで保存できます。
- Adobe公式: カラー設定と変換方法 — 公式資料・2026-09-06確認
こんなときに使えます
- 同人誌の表紙やグッズの完成イメージを、印刷物らしい雰囲気で見せたいとき
- 網点のざらつきや色のずれを、あえて絵の表現として取り入れたいとき
使い方
- プリセットから近い刷り方を選び、画像をドロップします。
- 「刷り方」で、CMYK 4色・モノクロ1色・スポット2〜3色を切り替えます。スポットのインクの色は、一覧から選ぶか、色見本で好きな色を指定します。
- 「網点」で、線数・刷り幅・網点形状・ドットゲインを調整します。刷り幅を小さくすると、網点が拡大して表示されます。
- 「版と紙」のパネルで、版ズレ・濃度ムラ・かすれ・紙の色と質感を足します。
- 「版の一覧」では、色の版ごとに角度とずれを直接入力できます。入力した版だけが自動の設定から外れます。「版の調整をリセット」で元に戻せます。
- プレビュー右上の「加工後」「元画像」「左右分割」を切り替えて、加工の強さを見比べます。
- 「注意」に出ている内容を確認してから、「高解像度で書き出し」でPNGを、設定はJSONで書き出します。
入力項目の意味
- 線数(lpi)
- 1インチの中に網点が何列並ぶかを表す数字です。大きいほど網点は細かくなります。目安は、つるつるした紙(コート紙)のオフセット印刷で175線、新聞で85線、同人誌のモノクロ本文で60線前後です。
- 刷り幅
- この画像を、実際に何mmの幅で刷るかです。線数とあわせて、網点1つが画面で何pxになるかが決まります。出力解像度とあわせて、書き出すPNGの画素数も決まります。
- ドットゲイン(50%網のTVI)
- 紙の上でインクがにじんで網点が太り、濃く刷り上がる度合いです。入れる値は「濃さ50%の網点が、刷り上がりで何%濃くなるか」(TVI)で、印刷の現場や規格でもこの50%の網点で測ります。実際の目安は、コート紙のオフセット印刷で+14%、上質紙で+22%、新聞用紙で+26%前後です。リソグラフとレトロ印刷のプリセットには規格の値がないので、雰囲気を出すために、それより濃い値を入れています。0%と100%はそのままで、中間の濃さだけが濃くなります。
- 版ズレ(ずれ量・ばらつき)
- 色の版どうしの位置が、どれくらいずれるかです。CMYKでは黒(スミ)の版を基準にするので、線画は動かず、色の版だけがずれます。
- 版ごとの角度・ずれ
- 「版の一覧」で、1枚ずつ上書きできる値です。角度は±90度、ずれは±3mmまで指定できます。入力しなかった版と項目は、「ずれ量」「ばらつき」と乱数シードから自動で決まります。
- 濃度ムラ・かすれ
- 場所によってインクの乗り方が変わる度合いと、ベタがこすれて抜ける度合いです。「ムラの粒」では、むらの模様の大きさをmmで指定します。
- サンプリング
- 画像の1ピクセルを、いくつの点で計算するかです。値を上げると、網点のふちがなめらかになり、計算のせいで出るしま模様も減らせます。ただし、しま模様がすべて消えるわけではありません。
結果の読み方と CLIP STUDIO PAINT への持ち込み方
プレビューと書き出しの見方
- 「版と紙」の「版の一覧」には、版ごとの網点の角度とずれの量が表示されます。版ズレは、ベタ塗りの部分では見えず、絵の輪郭や画像の端にだけ現れます。
- 網点が見えず、細かいしま模様だけが出るときは、画面の細かさが網点に追いついていません。線数を下げるか、刷り幅を小さくして拡大表示にするか、「プレビュー上限」を上げてください。「注意」にも同じ内容が出ます。
- 「高解像度で書き出し」は、プレビューではなく、刷り幅と出力解像度から決まる実寸で作り直します。たとえば210mmを300dpiなら2480pxです。その解像度はPNGにも記録されます。書き出すサイズはボタンの上に表示されます。大きな画像では数十秒かかります。
- スポット2〜3色では、黒が真っ黒にならず、濃い紺のような色になります。2色のインクでは色みのない黒を作れないためで、リソグラフらしい見た目そのものです。
クリスタでの使い方
- 書き出したPNGは、クリスタの[ファイル]メニュー→[読み込み]→[画像]で選ぶと、今のレイヤーの上に画像素材レイヤーとして置かれます。WindowsやmacOSでは、[レイヤー]パレットに直接ドラッグ&ドロップしても読み込めます。
- 位置や大きさを直すときは、[操作]ツールの[オブジェクト]で画像素材レイヤーを選び、出てくるハンドルをドラッグして、移動・拡大縮小・回転します。画像素材レイヤーにはそのまま描き込めないので、描き込みたいときは[レイヤー]メニューの[ラスタライズ]でふつうのレイヤーに変えてください。
- 元の絵の上に重ねてなじませたいときは、[レイヤー]パレットの上にある合成モードと不透明度を調整します。表紙のデザインやSNS用の加工のように、下のレイヤーと組み合わせて1枚に仕上げるときに使えます。
- このPNGは、印刷物らしい見た目を作ったものです。入稿用の原稿には使わないでください。網点の入った画像を入稿すると、印刷所でさらに網点に変換されて、モアレの原因になります。入稿用のデータは元の絵から作ってください。入稿前チェックで、画像のサイズや解像度を確かめられます(色や入稿の可否までは判断できません)。
- 「高解像度で書き出し」は、網点の粒まで見せたいときや、表紙・グッズの完成イメージを実寸で確かめたいときに使います。読み込んだソフトでも、刷り幅どおりの大きさで開きます。ブラウザで見た目を確かめるだけなら、プレビューで十分です。
仕組みと制約
詳しい仕組み
網点は、「マス目の中心からの距離が基準より近ければインクを乗せる」という1つの式で描いています。距離の測り方は、円なら普通の距離、四角なら縦横の大きいほう、菱形なら縦横の和です。基準の値は、面積が指定どおりになるように、あらかじめ計算した表から取り出します(マス目の一辺をs、濃さをaとすると、隣の点とくっつくまでの円の半径は r = s × √(a ÷ π))。
濃さ50%を境に白黒を入れ替える処理はしていません。そのため、49.9%と50.1%で網点の形が急に変わることはなく、円の網点でも100%を指定すれば面積は100%になります。
ドットゲインは、網点を大きくするのではなく、濃さのカーブで表しています。式は「濃さ + (TVI ÷ 100) × sin(π × 濃さ)」です。sinは両端で0になるので、0%と100%は変わらず、50%では入れたTVIのぶんだけ濃くなります。25%と75%では、その0.707倍です。この形は、実際に測ったドットゲインのカーブと同じです。上限を30%にしているのは、それを超えると、濃くしたのに暗い部分が薄くなるという逆転が起きるためです。
CMYKの網点の角度は15° / 75° / 0° / 45°で、4色を重ねたときにモアレがいちばん目立ちにくい、昔からの組み合わせです。色は、インクごとに光をどれだけ通すかを掛け合わせて作っています。この方法だと、C・M・Yを全部重ねたベタは真っ黒ではなく、少し赤みのある濃い茶色がかった黒になり、実際の印刷と同じような濁りが出ます。
確認できること・できないこと
網点・インク・紙の表現は、見た目を近づけるための簡単なモデルです。実際の刷り上がりは、印刷機や用紙、印刷所の処理で変わります。入稿してよいかの判断や、色校正の代わりには使えません。
- CMYKへの分け方は、sRGBを前提にした簡単な計算で、カラープロファイルを使った正確な変換ではありません。黒も4色で作るので、インクの合計量は、ふつうの入稿の基準を超えます。
- 規則正しく並んだ網点(AMスクリーン)だけを扱います。FMスクリーンやハイブリッドスクリーンは再現しません。
- 書き出す画素数には、メモリの都合で上限があります。上限を超える指定では、解像度を下げて書き出します。下げた値は、書き出す前に表示します。
画像と入力データの扱い
画像の読み込みも加工も、すべてブラウザの中で行い、画像を外部に送ることはありません。重い処理は、同じブラウザの中の別の作業場所(Web Worker)で行っているだけで、通信はしていません。加工の設定はブラウザ(localStorage)に保存されますが、読み込んだ画像は保存されません。
よくある質問
網点が見えず、細かいしま模様だけが出ます。
線数に対してプレビューの細かさが足りず、網点を描き分けられていない状態です。線数を下げるか、刷り幅を小さくして拡大表示にするか、「プレビュー上限」を上げてください。「注意」にも同じ内容が出ます。
このツールで加工した画像を、そのまま入稿できますか?
できません。見た目を近づけた簡単なモデルで、すでに網点が入った画像だからです。入稿用のデータは元の絵から作ってください。入稿前チェックで、画像のサイズや解像度を確かめられます(色や入稿の可否までは判断できません)。
インクの色を変えたら、絵がほとんど見えなくなりました。
紙とほとんど同じ色のインクは、ベタで刷っても紙と見分けがつきません。その版にどれだけインクを乗せるかも決められなくなるので、「注意」でお知らせしています。インクをもっと濃い色にするか、紙の色を薄くしてください。
前に保存した設定を開いたら、ドットゲインの数値が変わっていました。
ドットゲインの入力を「50%網のTVI(%)」に変えたためです。以前は意味のわかりにくい係数を入れる形で、初期値の0.08は、50%の網点を2%しか濃くしていませんでした。コート紙で実際に測った値(+14%前後)と比べると、かなり足りていなかったことになります。保存済みの設定や書き出したJSONの値は、見た目が変わらないように新しい数値に置き換えています(係数0.08なら+2%)。実際に近い濃さで見たいときは、プリセットを選び直してください。
同じ設定なら、毎回同じ結果になりますか?
なります。版ズレのばらつき・濃度ムラ・かすれ・紙目は、すべて乱数シードで決まります。
CLIP STUDIO PAINT の入手について
CLIP STUDIO PAINT とはどんなソフトか
CLIP STUDIO PAINT(クリップスタジオペイント、通称クリスタ)は、株式会社セルシスが開発している、イラスト・マンガ・アニメーション制作用のペイントソフトです。ペン入れに向いた筆圧の設定、コマ割りやフキダシ、トーン、3D素材、パース定規など、紙の原稿や印刷を前提にした機能がはじめからそろっています。Windows・macOS・iPad・iPhone・Android・Chromebookで使えます。
体験版と購入の選択肢
- 公式サイトで、無料の体験版が配布されています。描き心地や必要な機能を自分の環境で試してから決められます。
- グレードはPROとEXの2つです。何ページもあるマンガを1つの作品としてまとめて扱う機能が必要かどうかが、主な違いです。
- 買い方は、一度払えばずっと使える買い切りと、月額・年額のプランがあります。使える端末の種類と台数は、プランによって違います。
- 価格やプランの内容、対応端末は変わることがあるので、最新の情報は公式サイトで確認してください。
このツールと CLIP STUDIO PAINT の関係
このツールはブラウザだけで動くので、クリスタを持っていなくても使えます。書き出したPNGをクリスタでレイヤーとして重ね、絵として仕上げる作業はクリスタで行います。考え方は他のソフトにも使えますが、説明や手順はクリスタに合わせています。