写真を撮ったレンズの情報から、クリスタの3Dカメラに入れる「パース」の値を計算するツールです。焦点距離とセンサーの大きさを入れると、写る範囲の広さ(画角)もわかります。
基本
このツールでできること
レンズの焦点距離、カメラのセンサーの幅、キャンバスのサイズを入れると、画角とクリスタのパース値がわかります。焦点距離・水平画角・パース値は、どれか1つを変えると、残りも計算し直されます。
同じレンズでも、キャンバスの縦横比が変わるとパース値は変わります。実際に描く原稿のサイズで計算してください。
- クリスタ公式マニュアル: カメラアングルを決める — 公式資料・2026-09-06確認
こんなときに使えます
- 資料写真をもとに背景を描くとき、3D素材を写真と同じ画角に合わせたい
- 3Dで作った下描きのパースと、手描きのパース定規の見え方をそろえたい
- 広角レンズらしい誇張をどれくらい付けるか、パース値を変えながら見当をつけたい
使い方
- [キャンバス幅]と[キャンバス高さ]に、実際に描くキャンバスのピクセル数を入れます。
- [レンズ]の欄で、わかっている値を1つだけ入れます。焦点距離がわかるなら[焦点距離]に、資料の画角がわかるなら[水平画角]に入れます。24/35/50/85/135mmはボタン1つで入力できます。
- 35mm換算の焦点距離を使うなら、[センサープリセット]はフルサイズのままでかまいません。実際のカメラに合わせたいときだけ変えます。
- よく使う設定は、[マイプリセット]に名前を付けて保存しておくと、次から呼び出せます。
- 出力パネルの導出手順にある「CSP 3Dカメラ パース推定値」を読み取ります。
- クリスタで3Dレイヤーを選び、カメラの設定の[パース]をその値にします。
入力項目の意味
- 焦点距離
- レンズの焦点距離(mm)です。センサーの幅と組み合わせて、はじめて画角が決まります。この値だけでは画角は決まりません。
- 水平画角
- 画面の左端から右端までが見える角度(度)です。0度より大きく、180度より小さい値を入れられます。
- CSP 3Dカメラ パース値
- クリスタの3Dレイヤーに入れる値です。大きいほど画角が広く、小さいほど狭くなります。実機で測ったところ、この値はキャンバスの縦方向の画角(垂直画角)で決まっていました。
- 基準センサー幅
- 焦点距離を画角に換算するための基準です。クリスタの中の設定ではなく、「何mm幅のセンサーのカメラで撮ったとして考えるか」を表します。
- センサーフィット
- センサーの寸法を、画面の横と縦のどちらに合わせるかの設定です。横・縦・自動があり、自動では画面の長い辺に合わせます。
- 実カメラのセンサー高さを指定
- ふだん、センサーの高さは画面の縦横比から計算します。実際のカメラの縦横比に合わせたいときだけ、ここで高さを直接入れます。
- 計算フレームを手動指定
- キャンバス全体ではなく、その一部だけをカメラに写る範囲として計算したいときに使います。コマの中だけを1枚の画面として計算する場合などです。
結果の読み方と CLIP STUDIO PAINT への持ち込み方
結果の読み方
出力パネルの上には、「基準カメラ(焦点距離とセンサーの大きさ)→ 画角 → パース値」の3行が並びます。クリスタに入れる値がどう計算されたかを、順にたどれます。その下には、水平画角・垂直画角・対角画角・有効センサー幅と高さ・計算フレーム・px換算焦点距離・中心の位置が並びます。
- 「CSP 3Dカメラ パース推定値」の行が、クリスタに入れる値です。
- パース値を決めているのは垂直画角です。キャンバスの縦横比を変えると垂直画角が変わるので、パース値も変わります。
- [水平px換算焦点距離]と[垂直px換算焦点距離]は、他の3Dソフトや写真からカメラ位置を求めるツールで、カメラを合わせるときに使えます。
クリスタへの入れ方
クリスタ公式マニュアルの手順に沿うと、次の流れで3D素材にパース値を反映できます。
- [素材]パレットから、使いたい3D素材(デッサン人形や背景など)をキャンバスにドラッグ&ドロップします。3Dレイヤーが自動で作られます。
- [オブジェクト]ツールで、そのレイヤーの3D素材を選びます。
- [ツールプロパティ]パレット、または下のアイコンから開く[ツール詳細]パレットで、「カメラ」のカテゴリを開きます。Ver.5.0で[サブツール詳細]から名前が変わりました。
- [投影方法]が[透視投影]になっていることを確かめ、[パース]の欄に「CSP 3Dカメラ パース推定値」を入れます。
- [パース]で合わせるのは画角です。カメラの位置を動かすと、手前と奥の大きさの差や、物の重なり方が変わります。まず画角を合わせてから、カメラの位置と向きを写真に合わせましょう。
![[ツール詳細]パレット。左のカテゴリ一覧で[カメラ1]が選択され、右側に[使用中のカメラ]、[アングル]、[投影方法]の[透視投影]と[平行投影]の切り替え([透視投影]が選択)、[パース]20.00、グレーアウトした[平行投影のスケール]、[ロール]0、[カメラ位置]の X・Y・Z が縦に並んでいる。](/articles/camera-category-ja.png)
公式マニュアルでは、[パース]は3D素材に遠近感を付ける設定で、値が大きいほど画角が広く、小さいほど狭くなると説明されています。この向きは、このツールの計算と同じです。
仕組みと制約
詳しい仕組み
水平画角は「2 × atan(センサー幅 ÷ (2 × 焦点距離))」で求めます。垂直画角と対角画角には、画面の縦横比から計算したセンサーの高さ(センサー幅 × 画面の高さ ÷ 画面の幅)を使います。px換算焦点距離は「画面の幅 ÷ (2 × tan(水平画角 ÷ 2))」です。
クリスタのパース値は、垂直画角から「17.636 × tan(垂直画角 ÷ 2)」で求めます。反対に、パース値から垂直画角を出すときは「2 × atan(パース値 ÷ 17.636)」です。係数の17.636と、垂直画角が基準であることは、どちらもCLIP STUDIO PAINT 5.0.4の実機で測って確かめました。計算の途中はラジアンで行い、表示するときだけ度に直しています。
確認できること・できないこと
焦点距離から画角を出す計算は、3DソフトのBlender 3.6を実際に動かして確かめています。焦点距離・センサーの大きさ・センサーフィット・キャンバスの比率を組み合わせた600通りで、Blenderが描く画面と画角が一致すること、決まった点が同じ画素の位置に写ることを確認し、テストで固定しています。パース値への換算も、CLIP STUDIO PAINT 5.0.4の実機で測った値にもとづいています。
パース値の換算式は、公式のものではありません。公式の説明は「パースは値が大きいほど画角が広い」だけで、焦点距離やセンサーの大きさとの関係は示されていないため、実機で測りました。立方体の3Dモデルを読み込み、パースを5・8・12・20にして書き出した画像から、消失点をたどって実際の画角を測っています。1600×1600pxの正方形キャンバスで係数17.636が決まり、4つの設定でのばらつきは0.02%でした。さらに2400×1350と1350×2400でも測ったところ、3つとも垂直画角が97.17〜97.18度で一致したので、垂直画角が基準だと確定しました。
以前は、CLIP STUDIO TIPSのユーザー記事をもとにした「10 × tan(水平画角 ÷ 2)」という式を使っていました。この旧式が正しくなるのは、横縦比が約1.764のキャンバスのときだけです。16:9(1.778)とほぼ同じなので、16:9前後では偶然ほぼ合っていましたが、正方形や縦長のキャンバスでは大きくずれていました。たとえば1600×1600でパース5のとき、実際の画角は31.66度なのに、旧式では53.13度としていました。このツールの初期キャンバスは1920×1080なので、初期設定のままならずれはごくわずかです。最終的な見え方は、クリスタで3D素材を置いて確かめてください。
- レンズのゆがみ(たる型・糸巻き型)は扱わず、ゆがみのない理想のレンズとして計算します。
- パース定規は作りません。クリスタのふつうのパース定規は、カメラではなく、アイレベルと消失点で作るものです。
入力データの扱い
計算と保存はブラウザの中で行います。入力した内容はブラウザ(localStorage)に保存され、次に開いたときも元に戻ります。共有リンクには設定の値が含まれます。リンクを開くと、URLがこのサイトのサーバーに送られるので、人に見せたくない設定は含めないでください。保存した値は、ブラウザのサイトデータの削除で消せます。
よくある質問
クリスタのどこに、この値を入れるのですか?
3Dレイヤーを選んだときに出る、カメラの設定の[パース]です。
写真の情報(Exif)にある焦点距離を、そのまま入れてよいですか?
[センサープリセット]を、撮影したカメラのセンサーの大きさに合わせれば、そのまま入れてかまいません。35mm換算の値を使うなら、フルサイズを選んでください。
キャンバスのサイズを変えると、パース値も変わりますか?
変わります。パース値は垂直画角で決まり、垂直画角は画面の縦横比で変わるからです。焦点距離が同じでも、横長のキャンバスほどパース値は小さく、縦長ほど大きくなります。なお、クリスタの3Dレイヤーは作ったときの見え方を保つので、あとでキャンバスサイズを変えても計算し直されません(実機で確認済み)。キャンバスを変えたら、3Dレイヤーを作り直してください。
クリスタのパース値から、焦点距離を逆算できますか?
できます。[CSP 3Dカメラ パース値]の欄に今使っている値を入れると、焦点距離と水平画角が計算されます。逆算も垂直画角を通して計算するので、キャンバスのサイズはクリスタとそろえておいてください。
CLIP STUDIO PAINT の入手について
CLIP STUDIO PAINT とはどんなソフトか
CLIP STUDIO PAINT(クリップスタジオペイント、通称クリスタ)は、株式会社セルシスが開発している、イラスト・マンガ・アニメーション制作用のペイントソフトです。ペン入れに向いた筆圧の設定、コマ割りやフキダシ、トーン、3D素材、パース定規など、紙の原稿や印刷を前提にした機能がはじめからそろっています。Windows・macOS・iPad・iPhone・Android・Chromebookで使えます。
体験版と購入の選択肢
- 公式サイトで、無料の体験版が配布されています。描き心地や必要な機能を自分の環境で試してから決められます。
- グレードはPROとEXの2つです。何ページもあるマンガを1つの作品としてまとめて扱う機能が必要かどうかが、主な違いです。
- 買い方は、一度払えばずっと使える買い切りと、月額・年額のプランがあります。使える端末の種類と台数は、プランによって違います。
- 価格やプランの内容、対応端末は変わることがあるので、最新の情報は公式サイトで確認してください。
このツールと CLIP STUDIO PAINT の関係
このツールはブラウザだけで動くので、クリスタを持っていなくても使えます。ただ、ここでできるのは、クリスタに入れる値を計算するところまでです。計算したパース値は、クリスタの3Dレイヤーに入れて、はじめて絵に反映されます。考え方は他のソフトにも使えますが、数値はクリスタに合わせています。