入稿用に書き出した画像をブラウザへ読み込み、総インキ量・解像度・塗り足し・黒の作り方を、指定した入稿条件と突き合わせて診断します。どこが危ないのかを絵の上で確認できます。
このツールでできること
PNG や JPEG を読み込むと、入稿条件(仕上がりサイズ・塗り足し・セーフマージン・必要解像度・総インキ量上限・CMYKプロファイル)に照らして問題点を一覧にします。判定は「入稿不可 / 要修正」「要確認」「入稿可」の 3 段階、警告は致命的・確認推奨・参考情報に分かれます。プレビューには元画像・CMYK推定・TACヒートマップの 3 枚が並び、結果は JSON と HTML のレポート、ヒートマップ PNG として書き出せます。
入稿のどの工程で使うか
- 入稿直前、書き出した画像が印刷所の指定を満たしているかの最終確認
- 暗い背景や濃い黒を多用した絵で、インキが乗りすぎていないかの確認
- 断裁線の近くに文字やロゴを置いてしまっていないか、塗り足しまで絵が伸びているかの確認
使い方
- 「用途プリセット」から近いもの(同人誌カラー表紙・モノクロ漫画本文・グッズ/ポスターなど)を選びます。
- 仕上がりサイズ・塗り足し・セーフマージン・必要解像度・総インキ量上限を、入稿先の指定に合わせて直します。
- 画像を読み込みます。ドラッグ&ドロップでもファイル選択でも構いません。
- 診断結果パネルの判定を見て、警告を上の「致命的」から順に確認します。
- プレビューの TAC ヒートマップで、赤くなっている場所を絵の上で特定します。
- 必要なら JSON / HTML のレポートやヒートマップ PNG を書き出します。
入力項目の意味
- 用途プリセット
- 同人誌カラー表紙・モノクロ漫画本文など 5 種類です。選ぶと仕上がりサイズ・必要解像度・塗り足し・総インキ量上限がまとめて切り替わります。
- 塗り足し
- 仕上がりサイズの外側へ伸ばしておく余白です。断裁のずれで紙の白が出ないようにするためのもので、一般的には 3mm が指定されます。
- セーフマージン
- 仕上がり線から内側の、重要な要素を置かないほうがよい幅です。この範囲に強いコントラストの要素が多いと警告が出ます。
- 必要解像度
- 入稿先が指定する dpi です。仕上がりサイズと塗り足しから、必要なピクセル寸法が計算されます。
- 総インキ量上限(TAC)
- C+M+Y+K の合計の上限(%)です。超えるとインキが乾かず、裏移りや貼り付きの原因になります。コート紙で 300〜320%、マット紙や新聞系ではより低い値が指定されます。
- CMYKプロファイル
- 推定に使う色再現の傾向です。墨版の作り方と色域の詰め方が変わります。名前に「近似」と付いているとおり、ICC プロファイルそのものではありません。
結果の読み方と CLIP STUDIO PAINT での直し方
- 「致命的 — 直さないと入稿できません」の項目は、そのまま入稿すると刷り上がりに問題が出る可能性が高いものです。ここから順に対処します。
- 「参考情報」に必ず 1 件出る profile の警告は、この解析が簡易推定であることの但し書きで、直す対象ではありません。
- 最大TAC・平均TAC・TAC超過面積は、インキが乗りすぎている度合いです。
- リッチブラック・4色ベタは、墨版に他の色を重ねた黒の割合です。広い背景なら許容されることもありますが、細い線や小さな文字では版ズレでにじんで見えます。
- RGB差分 平均/最大は、画面で見ていた色と CMYK 推定色との距離です。大きいほど、鮮やかな青・緑・紫・ピンクがくすみます。
- 解像度が足りない場合は、CSP から「仕上がりサイズ + 塗り足し」を必要 dpi で満たすピクセル寸法へ書き出し直します。TAC が高い場合は、該当箇所の彩度を下げるか、黒を墨版寄りに作り直します。
計算の根拠
CMYK 推定は sRGB を前提にした簡易式です。各チャンネルを (1 − R÷255) の累乗として網点面積へ写し、指数にはプロファイルごとの色域圧縮量を使います。墨版は C・M・Y の最小値にプロファイルごとの黒生成量を掛けて作り、総インキ量は C+M+Y+K の単純な合計です。CMYK推定プレビューは、その CMYK を R = 255 × (1−C) × (1−K) という理想インキモデルで RGB に戻したものです。推定 dpi は、画像のピクセル数を「仕上がりサイズ + 塗り足し」の実寸で割って求めます。塗り足し不足は外周の帯にある白または透明に近い画素の割合で判定します。
精度と対象外のこと
このツールはブラウザ内の簡易 CMYK 推定です。埋め込まれた ICC プロファイルを読んで厳密に変換しているわけではありません。ICC厳密変換、PDF/X検証、.clip 解析、自動補正は対象外です。
- 実際の色は印刷所の機械・用紙・インキで変わります。正確な入稿判断は、CSP の CMYK 書き出し設定と入稿先の ICC 指定でも確認してください。
- 塗り足しとセーフエリアの判定は「読み込んだ画像の外周が塗り足し部分である」という前提に立ちます。仕上がりサイズちょうどで書き出した画像では、塗り足しの警告は意味を持ちません。
画像・入力データの扱い
画像の読み込みも解析もすべてブラウザ内で行い、画像やレポートを外部に送信することはありません。入稿条件の設定だけがブラウザの localStorage に保存され、読み込んだ画像は保存されずページを閉じると消えます。
よくある質問
判定が「入稿可」なら必ず問題なく刷れますか?
設定した入稿条件の範囲で、画素から機械的に判定できる項目に問題がなかったという意味です。簡易推定なので、色の最終判断は入稿先の指定と色校正で行ってください。
CMYK推定の色が実際の刷り上がりと違います。
ICC を使わない近似式なので、絶対的な色は一致しません。使いどころは「どの色がどの方向へどれくらい転ぶか」の傾向をつかむことです。
モノクロ漫画の原稿でも使えますか?
使えます。用途プリセットの「モノクロ漫画本文」は必要解像度 600dpi・総インキ量上限 250% になります。ただし解析は RGB 画像に対して行うので、2 階調化やトーン化そのものの判定は行いません。