表示倍率 100% は「画素とモニタの画素を 1 対 1 にする」表示であって、実物大を保証するものではありません。原寸で確認するための[印刷サイズ]表示とディスプレイ解像度の較正手順、原寸確認が要る場面をまとめます。
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表示倍率 100% が意味すること
CLIP STUDIO PAINT の表示倍率 100% は、画像のピクセルと画面のピクセルを 1 対 1 で対応させる表示であって、キャンバス上の 1cm が画面上でも 1cm に見えることを保証するものではありません。原稿の解像度(dpi)と、使っているモニタの物理的な画素密度が一致しない限り、100% 表示は実物より大きくも小さくも見えます。
- 同じ 600dpi の原稿でも、画素密度の低いモニタと高いモニタでは 100% 表示の見た目の大きさが変わります。原稿側の dpi とモニタ側の画素密度は別々の数値です。
- OS やブラウザの表示倍率(スケーリング)を上げている環境では、同じモニタでも見た目の大きさがさらに変わります。
- 構図やコマ割りなど、比率だけを見る作業では 100% 表示のままで問題ありません。原寸確認が必要になるのは、絶対的な大きさそのものが結果を左右する作業に限られます。
[表示]→[印刷サイズ]とディスプレイ解像度の較正手順
CLIP STUDIO PAINT の[表示]メニューには、印刷するときの寸法でキャンバスを表示する[印刷サイズ]という項目があります。画素を等倍で映す 100% 表示とは別の表示モードで、あらかじめモニタの解像度をソフトに教えておくことで、画面上の長さと物差しで測った長さを一致させます。公式マニュアルで確認した手順は次のとおりです。
- [表示]メニューから[印刷サイズ]を選びます。初めて使うときは[ディスプレイ解像度設定]ダイアログが自動で開きます。
- 手元の物差し(定規)を画面に当てます。ダイアログにはルーラーの目盛りが表示されています。
- 解像度のスライダーをドラッグし、ダイアログのルーラーの目盛りと画面に当てた物差しの目盛りが一致するところまで動かします。
- 一致したら[OK]で確定します。以降は[表示]→[印刷サイズ]を選ぶだけで、そのときの実寸表示が再現されます。
- 設定は環境設定の[キャンバス]グループにある[ディスプレイの解像度]の[設定]からいつでも開き直せます。別のモニタで作業する場合や、OS・ブラウザの表示倍率を変えた場合は較正をやり直してください。
モニタの物理解像度と dpi の関係
原稿の dpi(1 インチあたりの画素数)は、あくまでファイルに埋め込まれた情報です。画面に映したときの実際の大きさは、その画素をモニタが何 ppi(1 インチあたりの物理画素数)で表示するかによって決まります。dpi と ppi が一致しない限り、画素数をそのまま mm に変換しても画面上の実寸にはなりません。ブラウザは自分のモニタの ppi を直接は知らないため、CSS の仕様では便宜上 96dpi と仮定して mm・inch などの長さの単位を画素に変換します。画面定規メーカーやトーン実寸プレビューも、較正前はこの 96dpi 仮定に基づく概算表示をしており、実際のモニタの ppi とはずれることがあります。
- 同じ画面解像度(横の画素数)でも、モニタの画面サイズが変われば ppi は変わります。画面が小さいほど同じ画素数を狭い面積に詰めるため ppi は高くなります。
- 画面定規メーカーやトーン実寸プレビューを較正せずに使ったとき、帯が実物より小さく見える場合はそのモニタの ppi が 96 より高く、大きく見える場合は 96 より低いことになります。較正後は、この差が解消されます。
画面定規メーカーとトーン実寸プレビューの較正も同じ考え方
画面定規メーカーとトーン線数の実寸プレビューには、どちらも「等倍キャリブレーション」という設定があります。画面上に表示した帯を実物の定規で 100mm に合わせてから保存する仕組みで、CLIP STUDIO PAINT の[ディスプレイ解像度設定]で物差しをダイアログのルーラーに当てて解像度を合わせる操作と、原理はまったく同じです。どちらも「モニタの物理的な画素密度をソフト側が知らない」という同じ制約を、人間が物差しを当てて埋めています。
- 保存した等倍キャリブレーションの値は、画面定規メーカーとトーン実寸プレビューの間で共有されます。どちらか一方で合わせれば、もう一方にも反映されます。
- 未較正のときはどちらのツールも CSS の 96dpi を仮定した概算表示になります。モニタによっては実物と 2 割前後ずれることがあります。
- ブラウザや OS の表示倍率を変えると、保存した較正値もずれます。表示倍率を変えたら、CLIP STUDIO PAINT 側の[ディスプレイ解像度設定]と、この較正の両方をやり直してください。
原寸確認が要る場面
- トーンの網点の見え方を確かめるとき。60 線のトーンの網点間隔は約 0.42mm しかなく、表示倍率のまま見ると、原寸で見たときより粗くも細かくも見えてしまいます。実寸表示にして初めて、紙を見る距離での密度感を判断できます。
- 写植や吹き出しの文字サイズを決めるとき。フォントサイズは pt や mm で指定しても、モニタの画素密度次第で画面上の大きさは変わります。実寸で見て初めて、読者が実際に読む文字の大きさを確認できます。
- グッズやパッケージなど、印刷される実寸そのものが成果物になる入稿データを確認するとき。
- モニタや表示倍率がまちまちな環境(自宅と外出先、複数モニタなど)で、画面の見え方に頼らず判断したいとき。
よくある疑問
[印刷サイズ]表示をしなくても困らない作業はありますか?
あります。構図・コマ割り・全体のバランスなど、絵の中の比率だけを見る作業では 100% 表示のままで十分です。原寸確認が必要なのは、絶対的な大きさが結果を左右する場面に限られます。
較正した後にブラウザの表示倍率を変えたらどうなりますか?
保存した較正値と実際の表示がずれます。CLIP STUDIO PAINT の[ディスプレイ解像度設定]も、画面定規メーカーやトーン実寸プレビューの等倍キャリブレーションも、表示倍率を変えるたびに測り直してください。
画面定規メーカーで書き出した定規 PNG の寸法自体は、この較正の影響を受けますか?
受けません。書き出す PNG の目盛りは指定した DPI に対して正確で、正しさは読み込み先キャンバスの DPI が書き出し時と一致しているかどうかだけで決まります。較正がずれて影響するのは、あくまで画面上のプレビュー表示だけです。