クリスタのブラシは、小さな画像をスタンプのように並べて線を描いています。この画像(先端画像)を自分で作れば、好みのざらつきやにじみのあるブラシを作れます。この記事では、先端画像の作り方から、クリスタへの登録、描き味の調整までを説明します。
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ブラシの先端画像とは
クリスタのブラシは、小さな透明の画像を、ペンを動かした道筋に沿って短い間隔で押していくことで線を描いています。丸いブラシなら丸い画像を、かすれたブラシなら粒の集まった画像を押しているだけです。
そのため、先端画像の形やぼかし具合、透明度が、そのまま線の質感になります。先端画像を作ることは、ブラシの描き味そのものを作ることだと言えます。
手持ちのブラシの設定をいじっても出せない質感、たとえば不規則な粒、にじんだ輪郭、角のある平筆などは、先端画像から作るのが近道です。配布されているブラシ素材も、多くは「先端画像」と「間隔などの設定」の組み合わせでできています。この仕組みがわかっていると、配布ブラシを見たときにも、質感が先端画像によるものか、設定によるものかを見分けられるようになります。
使いやすい先端画像の条件
- 背景は透明に:背景に色があると、押すたびに四角く塗られて、線ではなく帯になってしまいます。
- サイズ:PNGの一辺は、線画用なら256px前後、粒の大きいテクスチャブラシなら512〜1024pxが目安です。大きすぎると描くときに重くなり、小さすぎると大きく描いたときにぼやけます。
- 硬さ:ふちのぼかし具合で、線のふちの印象が決まります。硬さを100%に近づけるほど輪郭がくっきりし、下げるほど柔らかくにじみます。ペンなら高め、水彩やパステルなら低めが目安です。
- 余白:絵柄を画像いっぱいに描かず、まわりに余白を残します。余白がないと、線を重ねたときに端が切れて見えることがあります。
- 縦横比と回転:平筆のような形にしたいときは、先端画像そのものを細長く、斜めにしておくと、いくつものブラシで同じ形を使い回せます。ブラシごとに角度を変えたいなら、画像はそのままにして、クリスタの設定で傾ける方法もあります。
素材登録の手順
先端画像のPNGができたら、クリスタに素材として登録して、ブラシに設定します。
- 書き出したPNGをクリスタで開きます。登録する前に画像のレイヤーを選び、[レイヤープロパティ]の[表現色]を[グレー]にします。こうすると、ふちの半透明の部分がきれいに残ります。[カラー]のまま登録すると、色が固定されてしまいます。[モノクロ]は、ふちをぼかさずくっきりさせたいときだけ使います。
- [編集]メニュー→[素材登録]→[画像]を選びます。
- [素材のプロパティ]ダイアログで[素材名]を入力し、[ブラシ用素材設定]の[ブラシ先端形状として使用]にチェックを入れます。これを忘れると、あとで先端の一覧に出てきません。[素材保存先]を選び、必要なら検索用のタグを付けて[OK]を押します。
- 元にしたいブラシを選び、[ツールグループ]パレットのメニュー→[ツールの複製]で複製します。元のブラシの設定を残しておくためです。
- 複製したブラシを選んだまま、[ツール詳細]パレットを開きます。Ver.5.0で[サブツール詳細]から名前が変わったので、古い解説では旧名で書かれていることがあります。
- [ブラシ先端]カテゴリを開き、[先端形状]を[円形]から[素材]に切り替えます。「ここをクリックして先端形状を追加してください」をクリックし、[ブラシ先端形状の選択]ダイアログで、登録した素材を選んで[OK]を押します。
- 描き味が決まったら、[ツール詳細]パレットの[全設定を初期設定に登録]で、今の状態をブラシの初期設定として保存します。
![[素材のプロパティ]ダイアログ。左上に[素材名]の入力欄、その下に[素材のイメージ]として黒い先端画像のプレビューがあり、さらに下の[ブラシ用素材設定]に[用紙テクスチャとして使用]と[ブラシ先端形状として使用]のチェックボックスが並ぶ。右半分は[貼り付け動作]の[拡大縮小][タイリング][タイリング方向]と、[重ね合わせの指定]の選択肢。](/articles/register-material-ja.png)
図では、[ブラシ用素材設定]のチェックが2つとも外れています。このまま登録すると、手順6の[ブラシ先端形状の選択]ダイアログに出てこないので、[ブラシ先端形状として使用]にチェックを入れてから[OK]を押してください。その上の[用紙テクスチャとして使用]は紙の質感用の設定なので、ここでは使いません。
クリスタ側で決める設定
形や硬さ、縦横比、粒、にじみは先端画像に作り込めますが、線としての動き方は、登録したあとにクリスタの設定で決めます。どの項目も、ブラシを選んで[ツール詳細]パレットを開き、左の一覧から[ブラシ先端]や[ストローク]を選ぶと出てきます。
![[ツール詳細]パレット。左のカテゴリ一覧は[ブラシサイズ][インク][色の変化][アンチエイリアス][ブラシ形状]と続き、その下の[ブラシ先端]が選択されていて、さらに[散布効果][ストローク][紙質]が並ぶ。右側は[先端形状]の[円形]と[素材]の切り替え([素材]が選択)、登録済み先端画像のサムネイル、グレーアウトした[硬さ]、[厚さ]150、[適用方向]の[水平]と[垂直]、[向き]0.0、[左右反転]と[上下反転]の[ランダム]、[ブラシ濃度]100。](/articles/brush-tip-category-ja.png)
- [ストローク]→[間隔]
- 先端画像をどれくらい詰めて並べるかの設定です。[固定][広い][普通][狭い]から選び、数値を入れられるのは[固定]のときだけです。狭くするほど線はなめらかになりますが、描くときの動作は重くなります。
- [ブラシ先端]→[厚さ][適用方向][向き]
- [厚さ]で先端をつぶし、[適用方向]でつぶす向きを[水平]か[垂直]から選び、[向き]で0〜360度回転させます。先端画像を細長く、斜めに作っていても、ブラシごとの調整はここで足せます。
- [ブラシ先端]→[硬さ]
- [先端形状]が[円形]のときだけ使える設定です。画像を先端にしたブラシでは使えないので、ふちのぼかし具合は先端画像に作り込んでおきます。
- [ブラシ先端]→[ブラシ濃度]
- 先端画像1つぶんの不透明度です。先端画像そのものの透明度と掛け合わされるので、薄い先端画像を作ったときは、まずここを100のままにして見え方を確かめると調整しやすくなります。
ブラシ先端メーカーで試作する
クリスタに登録する前に、ブラウザで試作してから書き出すと、やり直しが減ります。ブラシ先端メーカーでは、形(円形・四角形・多角形・粒子・にじみ)とキャンバスサイズを選び、硬さ・不透明度・縦横比・回転で描き味を決め、粒子量とにじみでざらつきを足していきます。多角形は、頂点をドラッグして形を崩すこともできます。
設定するときは、先端1つの見た目だけでなく、並べて描いたプレビューも確認しましょう。プレビューには、同じ太さで描いた線と、筆圧を弱→強→弱と変えた線の2本が出ます。
- 同じ太さの線が、つながらずに数珠のように見えるなら、硬さを下げるか、先端を大きくします。
- 筆圧の弱いところで線が急に途切れるなら、硬さか不透明度が強すぎます。
- クリスタの[間隔]の数値までは再現できませんが、プレビューの粒のつながり方を見ておくと、登録後に[固定][広い][普通][狭い]のどれを選ぶかの参考になります。
設定が決まったらPNGを書き出し、上の手順でクリスタに登録します。シード(乱数の種)だけを変えた画像を何枚か書き出しておけば、1本のブラシに複数の先端を登録し、[繰り返し方法]をランダムにするなどして、もっと不規則な質感も作れます。
設定のJSONファイルも、PNGと一緒に保存しておきましょう。ブラシ先端メーカーで読み込めば、設定・シード・多角形の頂点を元に戻して、別のバリエーションを作れます。このJSONはブラシ先端メーカー専用で、クリスタのブラシファイルではありません。
クリスタに登録したら、描画色を赤と青に切り替えて、それぞれ透明なレイヤーに描いてみます。どちらの色でも描けて、ふちの柔らかさが残っていれば、初期設定として保存しましょう。
出典と確認条件
資料の確認日は2026-09-06です。CLIP STUDIO PAINT 5.1.1 EXで、書き出した透明PNGを表現色[グレー]にして素材登録し、描画色を赤と青に変えて描けることを確認しました。記事内の画面はCLIP STUDIO PAINT 5.0.4のものです。